3割特例の確定申告書の書き方 付表6と付記事項欄
最終更新: 2026年10月1日(制度の基準日: 2026年9月29日、令和8年度税制改正後)。インボイス発行事業者である個人事業者(暦年課税期間)向けの一般的な解説です。
結論から
3割特例は事前の届出が要りません。確定申告のときに、消費税の申告書へ「付表6」を添え、第一表の付記事項欄に「8: 3割特例」と記入して適用します。使う申告書は、簡易課税制度選択届出書を出しているかどうかで2通りに分かれます。計算の考え方と金額の例は解説記事「3割特例の計算方法を具体例で解説」にあり、この記事は「どの書類のどこに何を書くか」を整理します。
申告までの流れ
- 対象の課税期間か確認します。個人事業者である適格請求書発行事業者の令和9年分・令和10年分が対象で、当てはまるかどうかは国税庁Q&A問115-2で確認できます。
- 国税庁の「消費税の申告書・様式」のページで、「3割特例用」の様式を選びます。
- 付表6を作り、その結果を申告書の第一表へ転記します。
- 第一表の付記事項欄に「8: 3割特例」を記入し、期限までに提出します。令和9年分の申告期限は2028年3月31日、令和10年分は2029年4月2日(3月31日が土曜のため翌開庁日)です。
準備するのは、1年間の売上を税率の区分(10%と8%)ごとに集計した数字です。売上の返還(値引き・返品など)や貸倒れの回収があれば、その金額も税率区分ごとに分けておきます。3割特例では、課税仕入れの税額を集計する必要はありません。経費の領収書や請求書の整理は、所得税の申告のために続けてください。
どの申告書を使うか
国税庁の様式ページには、3割特例用として次の2つの組み合わせが載っています。
| 簡易課税制度選択届出書 | 使う書類 |
|---|---|
| 提出していない | 申告書(一般用)の第一表・第二表と、付表6 |
| 提出済み | 申告書(簡易課税用)の第一表・第二表と、付表6 |
付表6は、どちらの申告書を作る場合でも、3割特例の適用を受けるときに添付します。簡易課税の届出を済ませていても、その年に3割特例を選ぶことができ、そのための届出は不要です。
付表6の欄の流れ
付表6は、税率の区分ごとに計算します。A欄が税率6.24%の適用分(軽減税率8%の国税分)、B欄が税率7.8%の適用分(10%の国税分)で、合計のC欄はAとBの合計です。
| 欄 | 内容 | 計算 |
|---|---|---|
| ① | 課税資産の譲渡等の対価の額 | 税率区分ごとの売上の額(税込か税抜かは記載要領に従う) |
| ② | 課税標準額 | ①をもとに、千円未満を切り捨てた額 |
| ③ | 課税標準額に対する消費税額 | A欄は②×6.24/100、B欄は②×7.8/100 |
| ④ | 貸倒れの回収に係る消費税額 | 該当する場合のみ |
| ⑤ | 売上対価の返還等に係る消費税額 | 該当する場合のみ |
| ⑥ | 基礎となる消費税額 | ③+④−⑤ |
| ⑦ | 特別控除税額 | ⑥×70% |
金額の計算は1円未満を切り捨てます。⑦は税率区分ごとに切り捨ててから合計する形なので、総額に7割をかけた金額と1円ずれることがあります。
付記事項欄と納付税額の記入
- 付記事項欄: 申告書第一表に「(個人の方)税額控除に係る経過措置の適用」の記入欄があり、3割特例は「8」を記入します。条文上も、申告書(期限後申告書を含む)に適用する旨を付記することが求められています。
- 納付税額の端数: 申告書(一般用)第一表の納付税額などの欄は、末尾に「00」が印字されており、100円未満は切り捨てです。
- 地方消費税: 同じ第一表の欄外注記に、3割特例の場合は「⑱欄に⑨欄の数字を記載し、⑱欄×22/78から算出した金額を⑳欄に記載する」とあります。
数字の流れは、方式比較ツールの試算結果と見比べると確認しやすくなります。
つまずきやすい点(要確認を含む)
- 付記は忘れずに。条文では、申告書に適用する旨を付記することとされています。提出前に記入漏れがないか確認してください。
- 簡易課税用の第一表の欄外注記は、この記事では確認していません。簡易課税用を使う場合は、国税庁の様式の注記をご覧ください。
- 簡易課税の2年継続の期間中に3割特例を適用した年の数え方は、明文を確認できていません。税務署へご確認ください。
- e-Taxなどの入力画面は、紙の様式と並びが異なる場合があります。この記事は紙の様式に基づいています。
一次資料
- 国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」(リーフレット)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/pdf/0026004-099-01-1.pdf - 国税庁 令和8年度税制改正特集ページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/index.htm - 国税庁 インボイスQ&A 問115-2(3割特例の適用できない課税期間等)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/115-2.pdf - 国税庁 インボイスQ&A 問117-3(3割特例より簡易課税が有利な場合・簡易課税の届出)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/117-3.pdf - 国税庁 インボイスQ&A 問115(2割特例の適用ができない課税期間)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/115.pdf - 国税庁 インボイスQ&A 問7(免税事業者の登録の経過措置)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/07.pdf - 国税庁「2割特例用 消費税及び地方消費税の確定申告の手引き」(令和7年11月版)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023008-043.pdf - 国税庁 タックスアンサー No.6505 簡易課税制度
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm - 財務省 令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf - 財務省 所得税法等の一部を改正する法律案(第221回国会)本文
https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/221diet/st080220h.pdf - e-Gov法令検索 消費税法施行令(みなし仕入率: 57条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/363CO0000000360 - e-Gov法令検索 租税特別措置法(個人事業者の確定申告期限: 86条の4)
https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026 - 国税庁 消費税の申告書・様式ページ(3割特例用の申告書・付表6)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/shohi/06.htm - 国税庁 付表6(小規模個人事業者に係る税額控除に関する経過措置を適用する課税期間用)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/shohi/pdf/0026008-068-08.pdf - 国税庁 付表6の記載要領
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/kansetsu/951225/pdf2/youryou_032.pdf - e-Gov法令検索 国税通則法(119条: 納付すべき税額の100円未満切捨て)
https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000066 - e-Gov法令検索 地方税法(72条の83: 地方消費税の税率)
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226 - 国税庁 消費税申告書 第一表(一般用)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/shohi/pdf/0026008-068-01.pdf - 国税庁 消費税申告書 第一表(簡易課税用)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/shohi/pdf/0026008-068-04.pdf
本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務判断・税務相談ではありません。最終判断は税務署または税理士へ。
本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務判断・税務相談ではありません。最終判断は税務署または税理士へ。