簡易課税制度選択届出書の提出期限はいつまで? 状況別に整理

最終更新: 2026年9月30日(制度の基準日: 2026年9月29日、令和8年度税制改正後)。インボイス発行事業者である個人事業者(暦年課税期間)向けの一般的な解説です。

結論から

簡易課税の届出期限は、原則として「適用したい課税期間の初日の前日まで」です。個人事業者(暦年)なら、適用したい年の前年12月31日にあたります。ただし、2割特例または3割特例を実際に適用した年の翌年から簡易課税にする場合は、令和8年度の税制改正で、翌年の確定申告期限まで届け出ればよいことになりました。自分がどの場合に当てはまるかで期限が変わるため、下の早見表で確認してください。

簡易課税制度の基本

簡易課税は、売上税額にみなし仕入率(第1種90%、第2種80%、第3種70%、第4種60%、第5種50%、第6種40%)を掛けて仕入控除税額を計算する方法です。実際の仕入れの税額を集計せずに納付税額を出せます。

  • 届出が必要: 「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出して初めて適用されます。提出しなければ本則課税のままです(消費税法37条1項)。
  • 基準期間(2年前)の課税売上高が5,000万円以下であることが必要です。5,000万円を超える年は、届出をしていても適用されません。
  • 2年間は継続: 事業を廃止する場合を除き、適用を始めた課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、やめるための「選択不適用届出書」を出せません(消法37条6項)。やめる届出の提出期限は、本記事では断定しません。国税庁の案内でご確認ください。

提出期限の原則と、2つの例外

  • 原則: 適用したい課税期間の初日の前日まで。令和10年分から使うなら、令和9年12月31日(2027年12月31日)までです。
  • 例外1(免税事業者から登録した年): 免税事業者が令和5年10月1日以後にインボイス発行事業者の登録を受けた場合、登録を受けた課税期間中(個人なら登録した年の12月31日まで)に提出すれば、その年分から適用できます。
  • 例外2(2割特例・3割特例の翌年): 2割特例または3割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間の確定申告期限までに提出すれば、翌課税期間から適用できます。個人の申告期限は翌年3月31日で、土日にあたるときは翌開庁日です。2割特例・3割特例は事前の届出が不要で、確定申告書への付記だけで使えます。

状況別の早見表(個人事業者・暦年)

簡易課税を使いたい年分前年分に2割特例・3割特例を適用した適用していない(原則)
令和8年分2027年3月31日(水)まで(令和7年分に2割特例を適用した場合)2025年12月31日で経過済み。令和8年中に免税事業者から登録した場合は、2026年12月31日(木)まで
令和9年分2028年3月31日(金)まで(令和8年分に2割特例を適用した場合)2026年12月31日(木)まで
令和10年分2029年4月2日(月)まで(令和9年分に3割特例を適用した場合。3月31日が土曜のため翌開庁日)2027年12月31日(金)まで
令和11年分2030年4月1日(月)まで(令和10年分に3割特例を適用した場合。3月31日が日曜のため翌開庁日)2028年12月31日(日)まで

12月31日が期限になる場合の年末年始の官公庁の休日の扱いは、確認できていません。余裕を持って提出してください。令和8年分の行は、改正後のルールの対象と整理していますが、個別の適用は税務署へご確認ください。自分の状況での期限は、届出期限ナビで日付まで表示できます。

よくある間違い

  • 2割特例を使えば簡易課税も届出済みになると考える: 2割特例・3割特例は付記だけで使えますが、簡易課税に移るには届出書の提出が別に必要です。
  • 特例を使っていないのに翌年の申告期限まで間に合うと考える: 延びるのは、2割特例または3割特例を実際に適用した課税期間の翌課税期間の場合だけです。適用しなかったなら、期限は原則どおり前年12月31日です。
  • 令和8年9月30日で終わるから令和8年分は使えないと考える: 個人事業者の課税期間は暦年で、令和8年分にはその日が含まれます。国税庁の年表でも令和8年分は2割特例の対象です。
  • 期限を「申告の時」と混同する: 届出書は申告書とは別の書類で、提出期限も別です。
  • 2年継続を見落とす: 簡易課税を選ぶと原則2年は戻れません。3割特例の適用年を2年の数え方にどう含めるかは、税務署への確認が必要な事項です。

届出の前に確かめたいこと

簡易課税が有利かどうかは、事業区分と実際の仕入れの割合で決まります。みなし仕入率が70%を超える第1種・第2種なら簡易課税のほうが3割特例より納付税額が小さく、第4種から第6種なら3割特例のほうが小さくなります。ただし、事業区分の判断(卸売か小売か、製造か加工賃かなど)は個別の判断です。数字での比較は方式比較ツールで試せます。考え方は解説記事「2割特例の終了と3割特例」にまとめています。3割特例・簡易課税・本則課税の金額の比較例は解説記事「3割特例の計算方法を具体例で解説」をご覧ください。4方式を選ぶ順番は解説記事「2割特例・3割特例・簡易課税・本則課税の選び方」で整理しています。

注意

注意したい点(要確認を含む)

  • 課税事業者選択後2年以内の固定資産の購入などで、簡易課税の届出ができない期間が生じることがあります(消法37条3項)。該当しそうな場合は税務署または税理士へ。
  • 令和8年10月以降に新たに登録した人の令和8年分の2割特例の取扱いは、国税庁の明示的な案内を確認できていません。
  • 特定期間の判定、相続、多額の設備投資がある場合は、適用の可否や有利不利が変わります。

一次資料

本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務判断・税務相談ではありません。最終判断は税務署または税理士へ。